SFTS(重症熱性血小板減少症候群)とは
SFTS(重症熱性血小板減少症候群)はSFTSウイルスによるウイルス感染症です。
2011年に中国の研究者らにより初めて報告され, その後, 日本と韓国でも感染例が報告されています。
SFTSはマダニに咬まれることによって感染します。
最近ではイヌやネコなどのペットから感染したと思われる症例が報告されています。
SFTS(重症熱性血小板減少症候群)はどんな症状がでるか
潜伏期間は5~14日間とされています。
高い熱がでて、頭が痛くなったり、節々が痛くなったりします。下痢などの症状を伴うことも多くあります。
重症になると意識がなくなったり、下血などの出血症状が出ることもあります。
血液検査をすると白血球や血小板の数が少なくなっていたり、肝機能の異常が認められます。
軽症例では1週間程度で症状が回復して、2週間でほぼ治って行きます。
重症例では、数日の経過で死亡することもあります。
現時点で、ワクチンや有効な薬はありません。
SFTSの発生状況は
2013年は年間40件の報告数が2023年には132件と急増しています。
2024年1月31日現在で、全報告数は939件で、うち104件が死亡しています。
男性と女性の報告数はほぼ同じで、70歳代が最も多くなっています。
死亡例も高齢者に多く、80歳代で44件と最も多くなっています。
発病時期は春先から初夏に多く、毎年、5月か6月に最多となっています。
発生地域としては西日本に多く、なかでも宮崎県、鹿児島県、高知県などで発生数が多くなっています。
2024年1月現在、東京都から北の地域での発生はありません。
今回の本邦ではじめてのヒトからヒトへの感染事例は
今回の事例は高齢のSFTSの患者の診療に従事した20歳代の救急部の医師が感染しました。
重症の患者さんでいろいろな処置を行っていました。
そのときに患者さんの血液中にいるウイルスが感染してと考えられています。
幸いにもこの医師は約2週間の経過で治癒しています。
埼玉医科大学 感染症科・感染制御科 教授
医学博士
長崎大学医学部を卒業後、呼吸器内科、感染症内科で臨床および研究に従事。現在は埼玉医科大学病院で感染症の診療と院内感染対策を主な業務とし、学生や研修医の教育も行う。日本感染症学会の理事や厚生労働省の審議会などの役職も務める。
専門は内科学、感染症学、感染制御学、呼吸器感染症