SFTS(重症熱性血小板減少症候群)とは
SFTSはブニヤウイルスと呼ばれるウイルスによる感染症です。
このウイルスは2011年に中国で初めて報告されて以来、日本や韓国でも発見されました。
このウイルスがマダニから人に感染するダニ媒介感染症の一つです。
感染すると5~14日間の潜伏期間の後で、熱が出たり、頭が痛くなったり、節々が痛くなったりします。
軽症例では1週間くらいで徐々に良くなってきて、2週間程度で治ってしまいます。
重症例では、意識が無くなったり、出血がみられたりして死亡することもあります。
現時点では、有効な薬やワクチンはありません。
ペットからSFTSが感染したと考えられる症例がありました。
これまでSFTSは動物に感染しても、感染した動物は病気を起こさないと考えられていました。
また、感染した動物からヒトへも感染は起こらないと考えられていましたが、ペットからヒトに感染したと思われる事例が発生しました。
ネコからヒトに感染した事例
健康な50歳代の女性が2日前に飼っていたネコに咬まれました。
その後で、この女性は熱や、吐き気、食欲低下などのSFTSと思われる症状がでてきました。
そして、この女性は症状が悪化して、最終的にお亡くなりになりました。
後で、飼っていたネコを検査してみるとSFTSに感染していたことが判りました。
イヌからヒトに感染した事例
もともとは元気だったペットのイヌが突然元気がなくなり、食欲もなくなりました。
動物病院で検査するとSFTSに感染していることが判りました。
イヌはその後、回復して元気になりましたが、イヌに症状がでてから10日後に飼い主の男性に熱がでて、節々が痛くなりました。
この男性の血液を検査した結果、SFTSに感染していることが判りました。
この2つの事例以外にも、動物病院で働いている医師や看護師さんの血液を検査すると、SFTSに感染したいたヒトが多くいたとの報告もあります。
このように、マダニから直接感染する以外にもイヌやネコなどのペットからSFTSに感染することに注意が必要です。
埼玉医科大学 感染症科・感染制御科 教授
医学博士
長崎大学医学部を卒業後、呼吸器内科、感染症内科で臨床および研究に従事。現在は埼玉医科大学病院で感染症の診療と院内感染対策を主な業務とし、学生や研修医の教育も行う。日本感染症学会の理事や厚生労働省の審議会などの役職も務める。
専門は内科学、感染症学、感染制御学、呼吸器感染症