今日の新着記事ネコやイヌなどのペットから人に致死率の高い感染症「重症熱性血小板減少症候群(SFTS)」がうつった例が少なくとも12件確認され、うち1件は死亡していたことが3日、国立感染症研究所などの調査で分かった。原因ウイルスを保有するマダニに刺されたペットがまず感染し、さらに人に広がったとみられる。SFTSに感染したネコの事例は300件超に上ることも判明した。2021年08月03日 配信 共同通信社
お母さん
重症熱性血小板減少症候群(SFTS)はどんな感染症ですか?
マダニが媒介するウイルス感染症です。
前崎 先生
重症熱性血小板減少症候群(SFTS)はマダニが媒介するウイルス感染症です。
原因となるウイルスはSFTSウイルスで、ウイルスを保有するマダニに咬まれることによって感染します。
マダニの活動が活発となる春から秋にかけて患者数が増加します。
お母さん
重症熱性血小板減少症候群(SFTS)ではどのような症状がでますか?
発熱や全身倦怠感に加えて嘔吐、下痢などの症状がでます。
前崎 先生
潜伏期間は6~14日間とされます。
38℃以上の発熱で発症し、全身倦怠感や嘔吐、下痢などの消化器症状を認めることが多いとされています。
重症例では急速に進行して、多臓器不全になって死亡する症例もあります。
お母さん
重症熱性血小板減少症候群(SFTS)が直接犬や猫から感染するのですか?
犬や猫が最初はマダニから感染し、その後で直接人に感染します。
前崎 先生
まず最初に犬や猫がマダニに咬まれて感染します。
その後で、感染した犬や猫から直接人が感染します。
犬や猫は野生のものばかりでなく、室内でペットとして飼われているものからも感染します。
お母さん
重症熱性血小板減少症候群(SFTS)の治療法はありますか?
根本的な治療法はなく、対症療法が中心になります。
前崎 先生
SFTSウイルスに有効な薬剤やワクチンはいまだにありません。
治療は対症療法と全身管理が中心となります。
ただし、マダニの咬傷によるツツガムシ病や日本紅斑熱との鑑別はつかないことが多いため、抗菌薬が投与されます。
ここがポイント重症熱性血小板減少症候群(SFTS)はウイルスを保有するマダニに咬まれることによって感染します。ペットとして飼っている犬や猫から感染することもあり、時には死亡することもあるので注意が必要です。
埼玉医科大学 感染症科・感染制御科 教授
医学博士
長崎大学医学部を卒業後、呼吸器内科、感染症内科で臨床および研究に従事。現在は埼玉医科大学病院で感染症の診療と院内感染対策を主な業務とし、学生や研修医の教育も行う。日本感染症学会の理事や厚生労働省の審議会などの役職も務める。
専門は内科学、感染症学、感染制御学、呼吸器感染症