少量でも免疫長持ち、「自己増殖型」コロナワクチン 治験結果を公表

今日の新着記事投与後に体内で成分が増える「自己増殖型(レプリコン)」と呼ばれる新しいタイプの新型コロナウイルスワクチンの治験結果を、バイオ企業のVLPセラピューティクス・ジャパンなどのグループが米専門誌に16日発表した。従来型のmRNAワクチンより、少量の成分で効果が長続きする特徴があるという。独自技術による国産ワクチンの開発につながるかもしれない。2023年08月16日配信 朝日新聞社

VLP Therapeutics Japanが開発の新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に対するレプリコン(次世代 mRNA)ワクチン(VLPCOV-01)

VLPCOV-01 は自己増殖型の RNA(saRNA)ワクチンと呼ばれる新しいワクチンです。

その特徴として従来のワクチンBNT162b2(ファイザー製mRNAワクチン)と比べて副反応は同じ程度でしたが、10~100分の1の用量で同程度以上の抗体価が確認されました。

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さらにその抗体価が長期に渡って持続することも確認されました。

その結果からこの新たなレプリコンワクチンは従来のコロナワクチンより優れたワクチンとなる可能性があります。

これまでのコロナmRNAワクチンには多量のmRNAが必要でした。

これまでのファイザーやモデルナのコロナワクチンには大量のmRNAが含まれていました。

そのことが多くの副反応の原因となる可能性が懸念されていました。

しかし、今回のレプリコンワクチンは極めて少ない量のmRNAで、従来のワクチンと同程度の抗体を作ることができました。

VLPCOV-01 は、新型コロナウイルス S タンパク質の膜アンカー型受容体結合ドメイン(RBD)を発現する、脂質ナノ粒子(LNP)デリバリーシステム 5を用いた自己増殖型の RNA(saRNA)ワクチンです。(Cell Reports Medicine DOI:10.1016/j.xcrm.2023.101134)

その理由は、生体内に導入されたmRNAが自ら増殖することによって、導入するmRNAの量は極めて少なくなりました。

従来のワクチンは抗体価の持続が短い欠点がありました。

これまでのmRNAワクチンによってできた中和抗体は持続時間が短い欠点がありました。

また、スパイクタンパクが新たに変異したウイルスでは、感染予防効果が減弱する欠点もありました。

今回のレプリコンワクチンは起源株、デルタ株、オミクロン株のすべてに対して中和抗体が確認されました。

全ての新型コロナウイルス株(起源株、デルタ株、オミクロン株 BA.2)に対して中和抗体が誘導されました。COVID-19 の一次ワクチン接種を受けたことのある 18 歳以上の健康な成人参加者において、VLPCOV-01 は許容できる安全性を有し、長期に渡って持続する免疫応答を誘導しました。(Cell Reports Medicine DOI:10.1016/j.xcrm.2023.101134)

さらに、その抗体価は25週経過しても減弱することはなく、長期間にわたって効果が持続する可能性が示されました。

この新しいワクチンは今後の国産ワクチンの開発に大きな貢献をすることが期待されています。

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ここがポイントVLP Therapeutics Japanが開発の新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に対するレプリコン(次世代 mRNA)ワクチン(VLPCOV-01)は少ない量のmRNAで従来のワクチンと同じ程度の抗体ができ、さらに長く持続する可能性が示されました。

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