オミクロン株の亜系統について
BA.4/BA.5系統の感染力について
2022年1月にBA.4系統が、2月にBA.5系統がいずれも南アフリカで検出されました。
BA.4系統、BA.5系統の遺伝子変異はBA・2系統と共通しています。
2022年6月24日までに、BA.4系統は世界60カ国から、BA.5系統は63カ国から報告されています。
当初は南アフリカが多くを占めましたが、いまでは欧州を中心に広がっています。
南アフリカ国内では2022年4月から5月にかけてBA.4系統、BA.5系統が占める割合が上昇し、BA.2系統からの置き換わりが進むと共にこの時期に感染者数の増加がみられました。
同様にポルトガルでも5月にBA.2系統からBA.5系統への置き換わりが進み、やはり感染者数の増加がみられました。
このことから、BA.4系統、BA.5系統はBA.2系統より感染力が強いと思われています。
PowerPoint プレゼンテーションBA.4/BA.5系統へのワクチンの効果
新型コロナウイルスワクチン接種者及びオミクロン株感染者の血清を用いた研究では、BA.4系統、BA.5系統に対する抗体価はBA.1と比較して2.9倍から3.3倍、BA.2と比較して1.6倍から4.3倍の中和活性の低下していることが判りました。
BA.2系統ウイルス株にオミクロン亜系統のスパイク遺伝子を置換した遺伝子組換えキメラウイルスを使った動物実験では、BA.4系統及びBA.5系統のスパイクを持つウイルスの病原性がBA.2系統のスパイクだけを持つウイルスよりも高くなったと報告されています。
しかし、この結果はワクチン接種などの影響が全くない状況のため、人における病原性は不明です。
なお、WHOは現時点でBA.4系統及びBA.5系統がより重症となる証拠はないとしています。
埼玉医科大学 感染症科・感染制御科 教授
医学博士
長崎大学医学部を卒業後、呼吸器内科、感染症内科で臨床および研究に従事。現在は埼玉医科大学病院で感染症の診療と院内感染対策を主な業務とし、学生や研修医の教育も行う。日本感染症学会の理事や厚生労働省の審議会などの役職も務める。
専門は内科学、感染症学、感染制御学、呼吸器感染症