カンピロバクターはどんな菌か
カンピロバクター属菌は0.2 ~ 0.8μm× 0.5~ 5μm大の細いらせん(S 字)状にわん曲したグラム陰性桿菌です。
菌の一端または両端に一本の鞭毛をもって、動きます。
カンピロバクター・ジェジュニ(C. jejuni)とカンピロバクター・コリ(C. coli)の2 菌種が食中毒を起こします。
食中毒の原因としては、サルモネラなど他の食中毒菌やノロウイルスによるものを抜いて最も多い原因菌です。
カンピロバクターの感染源や感染経路は
カンピロバクター属菌は、家畜、家禽、ペット、野生動物などの腸管内に存在し、これらの動物が感染源になります。
これら動物により汚染された河川や下水などにも菌が存在します。
主な感染経路は
- 生または調理不十分な食肉を食べること
- 食肉などから二次汚染を受けた食品を食べること
- 未殺菌の飲料水、あるいは野生動物などにより汚染された水を飲むこと
- 菌を持っている動物との接触すること
とくに鶏の料理が原因となることが多く、鳥の刺身・たたき、鶏わさ・レバー刺しなど、生または半生状態で食べて感染します
また、焼き鳥、焼き肉などに十分に火が通っていないと感染することがあります。
肉以外には沢水や井戸水、あるいは簡易水道水などの消毒不備による水から感染することもあります。
カンピロバクターに感染するとどんな症状がでるか
カンピロバクター食中毒の潜伏期間は、一般に2~ 5 日と他の細菌性食中毒の場合に比べて長く、平均2 ~ 3 日です。
症状としては、下痢、腹痛、発熱、頭痛、嘔吐などの症状がでます。
合併症として敗血症、菌血症、髄膜炎を起こすことがまれにあります。
腸炎の1 ~ 3 週後に手足の筋力低下、歩行困難などの症状とするギラン・バレー症候群を起こすことがあります。
埼玉医科大学 感染症科・感染制御科 教授
医学博士
長崎大学医学部を卒業後、呼吸器内科、感染症内科で臨床および研究に従事。現在は埼玉医科大学病院で感染症の診療と院内感染対策を主な業務とし、学生や研修医の教育も行う。日本感染症学会の理事や厚生労働省の審議会などの役職も務める。
専門は内科学、感染症学、感染制御学、呼吸器感染症