「アビガン」開発中止 かつて対応した加藤厚労相「検証必要ない」

今日の新着記事富士フイルム富山化学が、抗インフルエンザ薬「アビガン」を新型コロナウイルス感染症の治療に使う開発を中止したことについて、加藤勝信厚生労働相は18日の閣議後会見で、これまでの政府の対応を「特段検証する必要はないと思う」と述べた。アビガンは有効性を示すデータが不十分な段階で、政府が承認の可能性に言及するなど、異例の対応がとられていた。2022年10月18日配信 朝日新聞デジタル

アビガンはどんな薬か

  • 本来はインフルエンザに有効な薬剤
  • 催奇性の副作用から新型インフルエンザにのみ使用
  • 一般のインフルエンザの治療には使用しない

アビガンは新型インフルエンザの治療薬として承認された薬剤です

新型コロナウイルスもインフルエンザウイルスと同じRNAウイルスです。

アビガンはウイルスの増殖に欠かせないRNAポリメラーゼと呼ばれる酵素の働きを阻害することによってウイルスの増殖を抑制する働きがあります。

そのことから、アビガンが新型コロナウイルスにも有効ではないかと考えられました。

実際に試験管内で行った実験ではアビガンが新型コロナウイルスの増殖を抑制することが示されました。

アビガンの臨床試験の成績

新型コロナウイルスの患者にアビガン臨床試験が行われました。

最初の臨床試験はアビガンとプラセボ(偽薬)を用いてその効果を比較しました。

今日の新着記事新型コロナウイルスの治療について加藤勝信厚生労働相は22日、新型インフルエンザ薬として備蓄している「アビガン」(一般名ファビピ【続く】

しかし、この臨床試験は投与する医師には本当の薬は偽薬かわかるようになっていました。

そのため、医師の判断にバイヤスがかかる可能性があり、公正な臨床試験とは判断されませんでした。

ただし、この臨床試験の結果では、患者さんからウイルスが早く少なくなったり、症状も総合的に判断すると偽薬より効果があったことが判りました。

今日の新着記事 新型コロナウイルスの治療薬候補「アビガン」について、富士フイルム富山化学が近く国に製造販売の承認を申請することがわかった。9【続く】
アビガンを投与した新型コロナウイルスの患者さんでは偽薬(プラセボ)が投与された患者さんに比べて症状が早く良くなることが判りました。

そのため、今回の臨床試験では、医師にも偽薬であるかどうかわからないようにして試験が行われました。

しかし、オミクロン株の流行によって新型コロナウイルスの患者さんの症状が軽症であることが多く、最終的には偽薬と比べて大きな差は認められませんでした。

そのため、オミクロン株を主体とした現在の新型コロナウイルスにはアビガンを投与しても効果がないと考えられ、臨床試験は中断されました。

ここがポイント新型コロナウイルスの飲み薬として臨床試験が行われていたアビガンはオミクロン株が主体となった新型コロナウイルスでは効果がないことが判り、試験は中止されました。

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