インフルエンザが流行の時期になりました。正しい知識で対応しましょう
インフルエンザのお薬と予防接種について
インフルエンザのお話しも最終回となりました。
今回はインフルエンザのお薬と予防接種について解説します。
インフルエンザのお薬と言えば、皆さんはすぐに「タミフル」が思い出されるでしょう。
でも、このタミフルが世の中に登場したのは2000年のことで、今から高々20年ほど前のことなのです。
それまではインフルエンザに罹ったらどうしたかというと、熱さましのお薬を飲んで、家で寝ていました。
それでも、健康な人であれば数日で治ってしまい、元通りに健康な体になります。
インフルエンザはお薬を使わなくても自然に治ってしまう病気なのです。
でも、高い熱が何日も続くことはつらいことです。
そこで、インフルエンザと診断された人がこのタミフルを飲むと、熱が下がるときが1~2日早くなります。
そう考えると、折角お薬があるのなら、お薬を飲んで早く治したいですね。
それと、高齢の方では高い熱がでて、何日も調子が悪くて、食事もあまり食べれなくなると肺炎などになってしまうこともあります。
タミフルを飲めば、熱が早く下がる分、元気を取り戻すまでに時間が短くなるので、肺炎などになる人も少なくなると思います。
実は、日本は世界中で一番多くの種類のインフルエンザのお薬がある国です。
タミフルのほかにも、タミフルの吸入薬にあたるイナビル、タミフルの注射薬にあたるラピアクタなどがあります。
さらに、日本だけで使えるインフルエンザのお薬として、昨年からゾフルーザが登場しました。
でも、やっぱりインフルエンザに罹るとつらいですね。
そこで、インフルエンザにならないように予防接種としてワクチンを注射することが大切です。
ただし、ワクチンは注射してからすぐ効果がでるものではありません。
効果がでるまで、2~3週間の時間が必要です。予防接種は遅くとも11月下旬には済ませてください。
さあ、今年もインフルエンザのシーズンになりました。
正しい知識をもって、インフルエンザに立ち向かってください。
埼玉医科大学 感染症科・感染制御科 教授
医学博士
長崎大学医学部を卒業後、呼吸器内科、感染症内科で臨床および研究に従事。現在は埼玉医科大学病院で感染症の診療と院内感染対策を主な業務とし、学生や研修医の教育も行う。日本感染症学会の理事や厚生労働省の審議会などの役職も務める。
専門は内科学、感染症学、感染制御学、呼吸器感染症