感染症「ヘルパンギーナ」 愛知県が8年ぶりに警報発令

今日の新着記事乳幼児を中心に流行する夏かぜの一種である感染症「ヘルパンギーナ」の感染者が増えている。愛知県が6日、2015年以来となる警報を発令した。ヘルパンギーナは、6月26日~今月2日の週に定点医療機関あたり6・49人の患者が確認され、警報の指標である6人を上回った。県によると、38~40度の発熱が3日間ほど続き、のどが赤くなり、のどの奥に水ぶくれができる。県は感染予防として、手洗いやうがいを呼びかけている。2023年07月07日配信 朝日新聞社

ヘルパンギーナをどんな感染症か

ヘルパンギーナはエンテロウイルス属によるウイルス感染症です。

エンテロウイルス属はいくつかのRNAウイルスの総称で、ヘルパンギーナの原因となるウイルスはコクサッキーウイルスA群が主なものです。

エンテロウイルス属は一本のプラス鎖RNAを遺伝子としてもつウイルスで直径が20~30nmでエンベロープを持たないウイルスです。

その他には、コクサッキーウイルスB群、エコーウイルス、エンテロウイルスなどのウイルスもヘルパンギーナの原因となります。

ヘルパンギーナの流行の特徴は

ヘルパンギーナは夏から秋にかけて流行する感染症です。

毎年5 月頃より増加し始め、7月頃にかけてピーク となり、8月頃から減少を始め、9~10月にかけてほとんど見られなくなる。

いわゆる「夏かぜ」の多くはヘルパンギーナと言われています。

東京都では今年はすでに昨年を上回るヘルパンギーナの患者発生が報告されており、すでに1定点医療機関あたり8人の患者が報告されています。

患者の年齢は5歳以下 が全体の90%以上を占め、1歳代がもっとも多く、ついで2、3、4歳代の順になります。

大人に感染することはまれと言われています。

ヘルパンギーナの症状や治療は

エンテロウイルス属に感染すると2~4 日の潜伏期の後で、熱が出ます。

それに続いて喉が痛くなり、喉が真っ赤に腫れてきます。

喉を視てみると周りが部分的に充血して赤く見える小さな水ぶくれが視れるようになります。

喉の奥にできたヘルパンギーナの水ぶくれ(Springer Science+Business Media)

水ぶくれはその後で破れて、とても痛くなります。

熱は2~4日程度で自然に収まって、それに遅れて喉の水ぶくれも治ってきます。

小さな赤ちゃんは喉が痛くなって、ミルクや食べ物をとれなくなり、脱水になったり、不機嫌になったりします。

ほとんどは何の後遺症もなく治ってしましますが、ごくまれに髄膜炎や心筋炎を起こすことがあります。

診断は熱や典型的な喉の水ぶくれが視られれば診断されます。

治療は解熱薬や鎮痛薬など対症的な薬を飲みます。また、脱水などを認めた時には点滴を行います。

感染を防ぐワクチンはありません。

ヘルパンギーナに感染したときは学校や幼稚園は休まなくてはいけないか

ヘルパンギーナはインフルエンザなどのようにはっきりした学校保健法での位置づけはされていません。

多くの患者が発生し、学校行事に支障がでるような場合は学校長の判断で休校などの処置がとられます。

休校などの処置は感染の拡大を防止するということより、発熱などがある場合は本人の判断で学校や幼稚園を休むことが必要です。

ここがポイント子供の「夏かぜ」として流行するヘルパンギーナが今年は大流行しています。熱がでて喉の奥に痛みを伴うヘルパンギーナは多くは軽症ですが、乳幼児では脱水を起こすことがあり注意が必要です。

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする