子供たちと感染症
口の中にぶつぶつができたら。ヘルパンギーナと手足口病
今回は子供たちの口の中にぶつぶつができる感染症の話です。
その感染症はヘルパンギーナと手足口病です。
どちらも子供たちの口の中にぶつぶつができる病気です。
ヘルパンギーナはエンテロウイルス属と呼ばれるウイルスによる感染症です。毎年5月頃より増加し始め、7月頃にかけてピーク を形成し、8月頃から減少を始め、9~10月にかけてほとんど見られなくなります。
2~4 日の潜伏期の後、熱がでてきて喉が痛くなります。そのころから口の中に、直径1~2mmの赤いぶつぶつができます。そのぶつぶつはその後、水脹れになり、それが破れたりします。
特にお薬を飲む必要はありませんが、熱か高いときは解熱薬を飲みます。小さな子供で口の中が痛くて水が飲めないときは、脱水になるのを防ぐため、点滴をすることもあります。
登校や登園に関する規定はありませんが、症状が無くなってからもウイルスは長期間排泄されるので、時に学校や幼稚園で集団感染することがあります。
手足口病もコクサッキーA16やエンテロウイルス71などのウイルスによる感染症です。
4歳位までの幼児を中心に夏季に流行が見られ、2歳以下が半数を占めるが、学童でも流行することがあります。
手足口では3~5日の潜伏期の後、口の中ばかりでなく、手のひらや足の裏にもぶつぶつができます。熱はそれほど高くなりませんが、ぶつぶつは1週間くらい治ってもとに戻ります。
手足口病もとくに薬を飲むこともなく、自然と治ってしまいます。
登校や登園に関する規定はなく、症状が収まれば学校や幼稚園に行くことはできます。
子供たちの口の中にぶつぶつができた時は、この2つの感染症が考えられます。
埼玉医科大学 感染症科・感染制御科 教授
医学博士
長崎大学医学部を卒業後、呼吸器内科、感染症内科で臨床および研究に従事。現在は埼玉医科大学病院で感染症の診療と院内感染対策を主な業務とし、学生や研修医の教育も行う。日本感染症学会の理事や厚生労働省の審議会などの役職も務める。
専門は内科学、感染症学、感染制御学、呼吸器感染症