ばい菌の仲間たち 青く染まる菌(グラム陽性菌)(第2回)
青く染まる菌ですが、丸くなく細長い菌です。リステリア
青く染まる菌(グラム陽性菌)の最終回はリステリアを取り上げます。
これまでは、青く染まって、形が丸い菌のグラム陽性球菌と呼ばれる仲間のことを取り上げましたが、今回のリステリアは形が細長い鎖のように見えます。
このリステリアはグラム陽性桿菌の仲間になります。
グラム陽性桿菌には、リステリアのほかに、コリネバクテリウムやバチスルと呼ばれる菌がいます。
このリステリアは自然界で多くの動物の中に生息しています。
ただ、人に感染症を起こすリステリアはリステリア モノサイトゲネスと呼ばれる菌だけです。
この菌は食べ物を介して人に感染することが知られています。
例えば加工乳製品(アイスクリームやチーズ)などの2~3%にリステリアがいたとの報告もあります。
その他にも、ひき肉やお店で売ってある鶏肉にもリステリアがいることが報告されています。
このリステリアは4℃以下の低温でも生きていくことができるため、これらの食べ物を冷蔵庫で保存していても、感染することがあります。
もちろん、健康な人の腸の中にもリステリアはいますが、健康な人では病気になることはありません。
リステリアは敗血症や髄膜炎を起こすことがあります。また、妊婦さんに感染すると死産になったり、生まれてくる赤ちゃんに髄膜炎を起こしたりします。
リステリアにはペニシリン系の抗生物質など多くのお薬が有効です。また、食品を十分に加熱するなど、適切な調理をして食べることが大切です。
これで、グラム陽性球菌の話はおしまいです。
次回からは、赤く染まる菌(グラム陰性菌)の話題を4回にわたって届します。
埼玉医科大学 感染症科・感染制御科 教授
医学博士
長崎大学医学部を卒業後、呼吸器内科、感染症内科で臨床および研究に従事。現在は埼玉医科大学病院で感染症の診療と院内感染対策を主な業務とし、学生や研修医の教育も行う。日本感染症学会の理事や厚生労働省の審議会などの役職も務める。
専門は内科学、感染症学、感染制御学、呼吸器感染症