感染を防ぐ大事な作業 滅菌・消毒(第3回)
消毒は基本的なことをきちんと守ることが大切です。
今回は消毒について解説します。
消毒には消毒剤を使うことが一般的ですが、どの消毒剤を使うべきかいつも悩むところです。
消毒剤を選ぶ時にはそれぞれの薬剤の特性をよく理解して使うことが大切です。
まずはその消毒剤はどんな微生物に効力があるかどうかを確認してください。
これは、逆にこの微生物にはこの消毒剤は効かないことを確認したほうが良いかもしれません。
効かない消毒剤をいくらきちんと使っても、結果的には何もしていないことと一緒になってしまいます。
また、消毒するものに対する影響も確認してください。
消毒してもその対象が壊れたり、使えなくなってはいけません。
その上で、消毒剤を使用する時には、濃度、時間、温度の3つの要素をきちんと確認してください。
この3つの要素のどれか1つでも欠けてしまうと正しく消毒されません。
濃度はその消毒剤を薄めて使うときに、適切な濃度以上なければ効かないことになります。
時間は消毒剤と微生物が接触する時間で、この時間が短ければ効かないことになります
温度は一般的には高いほうが有効ですが、逆に20℃以下になると十分な消毒効果がなくなります。
正しい方法で消毒剤を使い、有効な消毒を行うことが大切です。
最終回はいくつかの代表的な消毒剤についてその特性を解説します。
埼玉医科大学 感染症科・感染制御科 教授
医学博士
長崎大学医学部を卒業後、呼吸器内科、感染症内科で臨床および研究に従事。現在は埼玉医科大学病院で感染症の診療と院内感染対策を主な業務とし、学生や研修医の教育も行う。日本感染症学会の理事や厚生労働省の審議会などの役職も務める。
専門は内科学、感染症学、感染制御学、呼吸器感染症