これからの季節、注意が必要です食中毒
食中毒の原因は潜伏期間と症状でわかります
どんな菌が食中毒を起こしたかは、潜伏期間と症状から推定できます。
潜伏期間は、食中毒の原因となった食べ物を食べてから症状がでるまでの時間になります。
食中毒の症状は、主に吐き気、下痢、お腹の痛み、熱などですが、どんな症状がでたかで原因の菌がわかります。
まず、食べてから1時間から8時間以内に吐き気がでたら、黄色ブドウ球菌の食中毒を疑います。
これは、黄色ブドウ球菌の持つ毒素による食中毒で、食べてからすぐ吐き気が起きることが特徴です。
下痢や、お腹の痛みがでることもありますが、熱がでることはほとんどありません。
黄色ブドウ球菌と同じようにバチルス菌による食中毒も食べてから、すぐに症状がでます。
ただし、バチルス菌の場合は吐き気やお腹の痛みはでますが、下痢はあまりないようです。
次にもう少し時間が経って、食べてから6時間から48時間後に熱やお腹の痛み、下痢などがでたときにはサルモネラ菌やカンピロバクターなどの食中毒を疑います。
これらの菌が食べ物と一緒にヒトの腸の中に入って、ある程度の時間で増殖してから症状がでるため、少し時間がかかります。
同じくらいの潜伏期間で、水のような下痢がでたときは、赤痢菌の食中毒を疑います。
もし、下痢に血液が混じるようなことがあれば、腸管出血性大腸菌O157を疑います。
このように食中毒は潜伏期間と症状から原因となった菌をある程度推定することができます。
埼玉医科大学 感染症科・感染制御科 教授
医学博士
長崎大学医学部を卒業後、呼吸器内科、感染症内科で臨床および研究に従事。現在は埼玉医科大学病院で感染症の診療と院内感染対策を主な業務とし、学生や研修医の教育も行う。日本感染症学会の理事や厚生労働省の審議会などの役職も務める。
専門は内科学、感染症学、感染制御学、呼吸器感染症