今日の新着記事世界保健機関(WHO)などは12日、2019年に世界で報告されたはしかの症例数が86万9770人となり、1996年以降最多だったと発表した。死者数は20万7500人と推計されており、2016年から5割増となった。2020年11月14日配信読売新聞
お母さん
麻しん(はしか)はどんな病気ですか??
麻しん(はしか)は麻しんウイルスによる全身性ウイルス感染症です。
前崎 先生
はしかは麻しんウイルスによるウイルス感染症です。
麻しんウイルスは自然界で、人を唯一の宿主とするウイルスです。
麻しんウイルスに感染すると高熱、鼻汁、咳などの上気道炎症状の後に、発熱3日目頃から頬の粘膜に白色斑点(Koplik班)が出現します。
その後、赤褐色の皮疹が顔や体に表れます。。
お母さん
なぜ、多くの人がはしかに感染するのですか?
それは麻しんウイルスは感染力が強いからです。
前崎 先生
麻しんウイルスは感染力がとても強く、1人の麻しん患者が免疫のない人に感染させる数は16~21人と言われています。
さらに、空気感染するため離れていても同じ空気を吸っている人はすべて感染します。
空気感染を防ぐには、普通のマスクでは効果がなく、特殊なマスクをつける必要があります。
お母さん
ワクチンで予防できますか?
ワクチンで予防することが可能です。
前崎 先生
はしかは終生免疫と呼ばれ、一度感染すれば、もう二度と感染することはありません。
また、ワクチンで感染を防ぐことができ、わが国では2006年から風疹ワクチンと混合した麻疹風疹混合(MR)ワクチンの2回定期接種により患者数が激減しました。
また、麻しん(はしか)患者との接触がはっきりしている場合は、72時間以内にワクチンを接種すれば発症が予防され、120時間以内なら重症の合併症が予防できます。
ここがポイントはしかは麻しんウイルスによる感染症です。感染力が強くて、さらに空気感染するため、一度に多くの患者が発生します。ワクチンで感染を防ぐことができ、日本では定期接種による患者数が激減しました。
埼玉医科大学 感染症科・感染制御科 教授
医学博士
長崎大学医学部を卒業後、呼吸器内科、感染症内科で臨床および研究に従事。現在は埼玉医科大学病院で感染症の診療と院内感染対策を主な業務とし、学生や研修医の教育も行う。日本感染症学会の理事や厚生労働省の審議会などの役職も務める。
専門は内科学、感染症学、感染制御学、呼吸器感染症