モデルナのmRNA-1273.214ワクチン
モデルナのmRNA-1273.214には従来の新型コロナウイルスとオミクロン株に対するmRNAがそれぞれ25μg含まれている2価のワクチンです。
3回目までに従来のmRNA-1273を接種した人に4回目はmRNA-1273と新しい2価のmRNA-1273.214を接種した際に、接種前と29日後のオミクロン株に対する中和抗体を測定しました。
その結果、新型コロナウイルスにこれまでに感染していない人では、従来のワクチンの4回接種群では抗体が4.4倍増えたのに対して、mRNA-1273.214接種群では8倍多くなりました。
このように新しい2価のワクチンはオミクロン株にもある程度の効果があるようです。
では、ワクチンの安全性はどうでしょうか。
この臨床試験の結果では、発熱や全身倦怠感などの全身的な副反応も、接種部位の痛みなどの局所の副反応もいづれも従来のワクチンとほぼ同じであったとされています。
ファイザーのオミクロン株対応ワクチン
モデルナと同じくファイザーもオミクロン株に対応したワクチンを開発してきました。
そのワクチンを使って従来のワクチンの3回接種した人に4回目の接種を行いました。
その結果、オミクロン株BA.1に対する中和抗体が増えることが判りました。
現在、日本で流行しているオミクロン株BA.5に対する中和抗体はBA.1に比べると少ないものの同じように増えることが判りました。
埼玉医科大学 感染症科・感染制御科 教授
医学博士
長崎大学医学部を卒業後、呼吸器内科、感染症内科で臨床および研究に従事。現在は埼玉医科大学病院で感染症の診療と院内感染対策を主な業務とし、学生や研修医の教育も行う。日本感染症学会の理事や厚生労働省の審議会などの役職も務める。
専門は内科学、感染症学、感染制御学、呼吸器感染症