レプトスピラ症はどんな感染症か
レプトスピラ症はスピロヘータと呼ばれる細菌の1種による感染症です。
レプトスピラを持っている動物の尿から排出された菌によって汚染された水や土から感染します。
汚染された水や土のレプトスピラが皮膚や口から感染します。
動物から感染する人獣共通感染症の一つです。
レプトスピラ症の流行地域はどこか
日本ではレプトスピラ症の報告は近年極めて少ない状況にあります。
その中でも沖縄県はときどき散発的に患者が発生しています。
1999 年の夏には、八重山地域において15例のレプトスピラ症の集団発生が報告されています。
患者の多くは観光ガイドやカヤックインストラクターなど河川でのレジャー産業に従事する人たちでした。
海外ではいまでもレプトスピラ症の大規模な流行が起こっています。
ブラジル、ニカラグアなどの中南米、フィリピン、タイなどの東南アジアなど、熱帯、亜熱帯の国々で流行が起こっています。
なかでも、タイなどでは毎年数千人規模の大流行が続いています。
レプトスピラ症の症状や治療は
レプトスピラ症は風邪のような症状で治ってしまう軽症例からワイル病と呼ばれる重症例まであります。
感染して5~14日間の潜伏期間を経て発熱、悪寒、頭痛、筋痛、腹痛、結膜充血などの症状がでます。
重症例になるとその後、黄疸や出血などが起き、腎機能障害などが現れます。
レプトスピラは細菌の1種ですから抗生物質が有効です。
軽症例ではドキシサイクリンという飲み薬を使い、重症例ではペニシリンの点滴で治療します。
感染しないためには、東南アジアでは雨期(7~10月頃)に患者が発生するため、この時期には不用意に水に入らないことが大切です。
また、洪水のあとには絶対に水に入らないことが予防には重要です。
埼玉医科大学 感染症科・感染制御科 教授
医学博士
長崎大学医学部を卒業後、呼吸器内科、感染症内科で臨床および研究に従事。現在は埼玉医科大学病院で感染症の診療と院内感染対策を主な業務とし、学生や研修医の教育も行う。日本感染症学会の理事や厚生労働省の審議会などの役職も務める。
専門は内科学、感染症学、感染制御学、呼吸器感染症