今日の新着記事細菌が増えるのを抑える抗生物質について「風邪やインフルエンザなどの原因となるウイルスには効かない」と正しく理解している人は37.8%にとどまるとの世論調査結果を11日、内閣府が公表した。風邪などへの安易な使用が薬が効きにくい薬剤耐性菌を増やす一因となっているとされ、意識改革を促していく必要がありそうだ。2019年10月15日配信共同通信社
お母さん
抗生物質はウイルスには効かないのですか
抗生物質は細菌に効きますが、ウイルスには効きません。
前崎 先生
ペニシリンをはじめとした抗生物質は細菌には効きますが、ウイルスには効きません。
抗生物質は細菌が増殖することを抑えたり、細菌の細胞を殺してしまう作用があります。
ウイルスには抗生物質が作用する部位がないので、ウイルスに抗生物質を投与しても何の効果もありません。
お母さん
風邪はウイルスでおきますか?
風邪はウイルスの感染症です。
前崎 先生
私たちが日常で風邪をひくことはウイルスの感染症です。
喉が痛くなったり、熱が出たり、咳が出たり、体が怠かったりする風邪の症状はウイルスの感染によっておきます。
インフルエンザウイルスなど特別なウイルスを除いて、風邪を起こすウイルスはアデノウイルスやコロナウイルスなどいくつかのウイルスが知られています。
お母さん
それなら、風邪に抗生物質は効かないことになりますか?
健康な人が風邪をひいたときには、抗生物質は必要ありません。
前崎 先生
健康な人が風邪をひいたときには、抗生物質は必要ありません。
逆に、抗生物質は比較的副作用の少ない安全なお薬ですが、副作用が全くないわけではありません。
不必要な薬を飲んで、副作用で体の調子がおかしくなってしまっては、本末転倒です。
健康な人は風邪をひいても、安静と十分な栄養で自然に治ります。
不要な抗生物質を飲まないようにしましょう。
埼玉医科大学 感染症科・感染制御科 教授
医学博士
長崎大学医学部を卒業後、呼吸器内科、感染症内科で臨床および研究に従事。現在は埼玉医科大学病院で感染症の診療と院内感染対策を主な業務とし、学生や研修医の教育も行う。日本感染症学会の理事や厚生労働省の審議会などの役職も務める。
専門は内科学、感染症学、感染制御学、呼吸器感染症