再び新型コロナウイルスの話題(第2回)

再び新型コロナウイルスの話題(第2回)

2021/22シーズンのインフルエンザとワクチン接種

今回は今シーズンのインフルエンザウイルスの流行での注目点について考えてみます。

さて、昨シーズンのインフルエンザの流行は皆さまもよくご存じのように、これまでの統計の中では極端に患者数が少ないシーズンとなりました。

シーズン前にはツインデミックなどという言葉も出てきて、いかにも新型コロナウイルスとインフルエンザの同時流行が起き、大変な事態になるとの予測がありました。

しかし実際には、2019年末から2020年初頭にかけてA(H1N1)pdmの小流行がみられ、2020年に入ってB型が散見されたものの、新型コロナウイルスの第4波の流行が始まった2月以降は、急速に患者報告数が減少しました。

これには、新型コロナウイルスの感染対策としてのマスク着用、手洗いの励行、十分な換気などが良い結果を生み出した可能性もありますが、一部には2つのウイルスが干渉してインフルエンザの流行が小さかったのではないかとの考えもあります。

では、2020~21年の今シーズンのインフルエンザはどうなるのでしょうか。

こればかりは予測なので外れることもありますが、新型コロナウイルスの流行がなかった以前は、南半球の流行状況をみて、わが国の流行の予測やワクチン株の選定などを行っていました。

今は新型コロナウイルスの流行下ですので、同じような予測が可能かどうかはわかりませんが、2021年夏の流行期のオーストラリアでの患者数は昨シーズンと同様に極めて少なくなっています。

オーストラリアやニュージーランドはロックダウンも含め、極めて厳しい感染対策を行っていますので、それが功を奏しているのかもしれません。

それを考えるとわが国の今シーズンのインフルエンザの流行は小規模になる可能性もあります。

南半球の状況をみると少し楽観的な予測になりますが、私は今シーズンのインフルエンザは、ある程度(例年と同じくらい)流行すると思っています。

中でも、昨シーズンに感染の機会が少なかった子どもたちでの流行が起こるのではないかと思っています。

実は今シーズン、子どもたちの間ではRSウイルスの大きな流行が起きています。

昨シーズンに罹患していない子どもたちは集団免疫が獲得されず、今シーズンはインフルエンザの感染者数が多くなる危険性があります。

その子どもたちから成人に感染する例も増えることが懸念されます。そのため、今シーズンも例年と同じくワクチンの接種が推奨されます。

米国ではインフルエンザワクチンと新型コロナウイルスワクチンの同時接種なども行われていますが、わが国では、片方のワクチンを接種してから2週間の間隔をあけてもう一方を接種することになります。

高齢者の多くはすでに新型コロナウイルスワクチンの2回の接種は完了していると思われますので、例年と同じように10月半ばから11月中にはインフルエンザワクチンの接種を行うべきと思います。

若い人で、これから新型コロナウイルスのワクチンを接種する方は、まず新型コロナウイルスワクチンを接種して、できれば12月初旬までにはインフルエンザワクチンの接種を済ませていただきたいと思います。

インフルエンザはワクチンの接種によって重症化を防げることが明確な感染症です。ワクチン接種をきちんと済ませて、安心できる生活を過ごしてください。の必要性なども考慮されると思います。

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする