MERS感染を確認 アブダビの28歳男性

今日の新着記事世界保健機関(WHO)は24日、アラブ首長国連邦(UAE)アブダビ首長国の28歳の男性が中東呼吸器症候群(MERS)に感染していることが確認されたと発表した。男性はオマーンとの国境に近いアルアイン在住で、先月から入院。接触者108人を検査したが、2次感染は確認されなかったという。2023年7月25日配信共同通信社

MERSはどのような感染症か

中東呼吸器症候群(MERS: Middle east respiratory syndrome)は、2012年にサウジアラビアで初めて確認されたMERSコロナウイルス(MERS-CoV)による感染症です。

MERSコロナウイルスは今回の新型コロナウイルスと同じコロナウイルスの1種です。

新型コロナウイルス感染症。基本的なことを抑えましょう(第2回) 本当に怖いコロナウイルスです。SARSとMERS 前回の解説で、成人の風邪の【続く】

2013年11月にサウジアラビアにおいてMERSコロナウイルスに感染したヒトコブラクダとの濃厚な接触後に発生した1死亡例が報告され、ラクダからヒトへの感染が確認されました。

このことからMERSコロナウイルスをもっているヒトコブラクダから人に感染することがわかりました。

中東諸国では、ヒトコブラクダは食用肉としてだけでなく、観光資源、娯楽資源としても住民生活に密着した動物です。

ただし、日本で飼われているヒトコブラクダを調べた結果、MERSコロナウイルスをもっているラクダはいませんでした。

世界中でのMERSの発生状況は

世界中ではサウジアラビアを中心に中東諸国で流行しています。

今日の新着記事世界保健機関(WHO)からの情報として、サウジアラビア首都リヤドやその周辺で5月の1カ月間で、新たに14人の中東呼吸器症候群(【続く】

報告数の約7割はサウジアラビアで発生しています。

多くの報告はサウジアラビアを中心とした中東諸国からですが、英国や米国でも患者が報告されています。幸いに現時点で日本では患者発生の報告はありません。

一部にはヒトコブラクダと接触歴が不明のものや、院内感染と思われる事例もあります。

中東以外では2015年に韓国での集団発生があります。

中東諸国への渡航歴のある1人の男性を発端に2015年5月~7月の間に16の医療機関で計186例の症例が報告されました。

2015年5月~7月の間に韓国での集団発生の事例がありました。多くは人から人の院内感染によって患者が発生しました。

その中には39例の医療従事者の感染例も含まれています。

MERSコロナウイルスに感染するどのような症状がでるか

MERSコロナウイルスの主な感染経路は飛沫感染と接触感染です。

2~14日の潜伏期間の後で、咳や痰などの上気道炎や肺炎の症状が出てきます。

ほかには下痢などの消化器症状を認めることもあります。

重症になると1週間程度で呼吸困難などを伴う重症の肺炎を起こします。

致死率は20~40%と極めて高いとの報告もあります。

現時点では有効な治療薬やワクチンはないため、感染しないようにすることが重要です。

ここがポイント中東呼吸器症候群(MERS)はMERSコロナウイルスによるウイルス感染症です。ヒトコブラクダとの接触によって感染するため、主に中東諸国で患者が発生していますが、致死率も高く注意が必要な感染症です。

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