呼吸器感染「予想の範囲」 中国の状況にWHO

今日の新着記事世界保健機関(WHO)は7日、ヒトメタニューモウイルスなどによる呼吸器感染症の増加が報じられた中国の状況について「報告数は冬の時期に予想される範囲内だ。異常な感染拡大の報告もない」との情報を公表した。2025年01月08日配信 共同通信社

ヒトメタニューモウイルスの発見

ヒトメタニューモウイルス(hMPV)は2001年にオランダで20年間にわたって診断できなかった上気道および下気道の感染症で入院した子供の検体から始めて分離されたウイルスです。

その後、保存してあった検体の詳しい検査をしてみると1950年代からこのウイルスによる感染症はあったことがわかり、遺伝子を調べてみるとさらに以前から存在していた可能性もあります。

ヒトメタニューモウイルス(hMPV)はパラミキソウイルスの1種で同じウイルスの仲間のRSウイルス(RSV)とよく似ています。

そのため、hMPVとRSVはしばしば同時に感染することがあります。

この二つのウイルスが同時に感染するとより重症になると言われていますが、臨床的な証拠はいまだありません。

多くは子供の急性上気道感染症の原因

hMPVは他のウイルスと同様に呼吸器感染症を起こすウイルスです。

先進国から開発途上国まで世界中に認められ、5歳未満の多くの子供はこのウイルスに感染していると考えられています。

2際未満の子供が感染するとより重症になりやすいとされています。

急性気道炎を起こした子供の2~20%にウイルスが認められ、急性呼吸器感染症で入院した3~7%の子供にウイルスが認められとの報告もあります。

また、全く症状のない子供や大人からこのウイルスが検出されることは極めてまれ(<1%)とされています。

最近の研究では、全米の5歳以下の子供が1年間にhMPVの感染で、20,000人が入院し、263,000人が救急外来を受診し、約1億人が一般外来を受診していると考えられています。

多くの施設の研究では、このウイルスが流行する年はまちまちですが、流行時期は多くの報告でも冬から早春とされています。

喘息を基礎疾患に持つ5歳未満の子供が感染すると重症の肺炎を起こすことがあり、集中治療室での治療が必要となることもあります。

また、10%程度の症例に中耳炎を合併するとされています。

高齢者では重症化

大人に感染した場合は一般的に重症となることは少ないとされていますが、慢性の肺疾患や心臓疾患を持っている大人や、超高齢者が感染するととき重症となります。

大人でも急性上気道炎の3~7%はこのウイルスが原因と考えられています。

また、時に集団感染を起こすことがあり、高齢者が入居している施設などでは注意が必要です。

リバビリンと呼ばれる抗ウイルス薬や、免疫グロブリンなどが治療に使われることがありますが、その効果ははっきりとは実証されていません。

また、現時点では有効なワクチンも存在しません。

それぞれのウイルス感染症の症状

ここがポイントヒトメタニューモウイルス(hMPV)は世界中の多くの国で冬から早春にかけて流行する呼吸器感染症の原因ウイルスです。多くは5歳以下の子供に感染しますが、高齢者や肺や心臓に基礎疾患を持つ大人ではときに重症となることがあります。

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