ボツリヌス症は、ボツリヌス菌という細菌が作るボツリヌス毒素によって起きる病気です。
ボツリヌス症は、ボツリヌス菌という細菌が作るボツリヌス毒素によって起きる病気です。
ボツリヌス菌は、酸素があると増えることのできない偏性嫌気性菌の仲間です。
また、芽胞(がほうを作り、熱、乾燥、消毒薬等に強い状態になり、厳しい環境でも長く生き延びます。
このボツリヌス菌の毒素の働きによって神経の麻痺が起こる病気です。
ボツリヌス毒素を食品とともに食べることで、ボツリヌス食中毒は引き起こされます。
ボツリヌス毒素を食品とともに食べることで、ボツリヌス食中毒は引き起こされます。
ボツリヌス菌は土の中など広く自然界にいて、その菌で汚染された果物、野菜、肉、魚などとともに食品を食べることで感染します。
ボツリヌス菌の芽胞は熱に強いため、100℃で長時間調理しても死滅させることができません。
真空パック詰食品や缶詰、瓶詰め、発酵食品内などの「酸素の少ない状態」になると、食品内でボツリヌス菌が増え、ボツリヌス毒素が作られます。
日本では、辛子レンコン、ハヤシライスの具材、あずきばっとう(ぜんざいにうどんが入った食品)等の真空パック詰食品による食中毒事例が報告されています。
その他に自家製の「いずし類」(なれずしの一種で、米麹、魚、野菜を樽の中で漬け込み、乳酸発酵させたもの)などによる食中毒も報告されています。
ボツリヌス菌の毒素で全身の筋肉が麻痺を起こします。
菌に汚染された食品を食べてから、多くは18時間から48時間後に、症状が現れます。
症状は、まぶたが垂れ下がる、物が二重に見えたりかすんで見えたりする、物が飲み込みにくくなる、ろれつが回らなくなるなどの神経症状が出てきます。
意識ははっきりしたままで、聞く、触る、においを嗅ぐなどの感覚に異常は認めません。
病気が進行すると全身の筋肉に麻痺がでて、呼吸を行う横隔膜に麻痺がでると人工呼吸器を使わないと死亡することがあります。
埼玉医科大学 感染症科・感染制御科 教授
医学博士
長崎大学医学部を卒業後、呼吸器内科、感染症内科で臨床および研究に従事。現在は埼玉医科大学病院で感染症の診療と院内感染対策を主な業務とし、学生や研修医の教育も行う。日本感染症学会の理事や厚生労働省の審議会などの役職も務める。
専門は内科学、感染症学、感染制御学、呼吸器感染症