塩野義の新型コロナ飲み薬 最終治験でオミクロン株に効果確認

今日の新着記事塩野義製薬は28日、開発中の新型コロナウイルスの飲み薬「ゾコーバ」について、最終段階の臨床試験で効果を確認できたと発表した。同社によると、オミクロン株に特徴的な発熱や鼻水など五つの症状が消失する時間を、24時間短くする効果が確認できたという。今後、できるだけ早い承認に向けて、さらにデータの解析などを進める。2022年09月28日配信 朝日新聞社

新型コロナウイルスの治療としての飲み薬

今回、新型コロナウイルスの治療薬として塩野義製薬が開発した飲み薬が臨床試験の結果、軽症から中等症の新型コロナウイルスの患者さんに有効である結果が発表されました。

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この薬はエンシトレルビル フマル酸と呼ばれる薬剤で、新型コロナウイルスの増殖を抑える働きがあります。

エンシトレルビル フマル酸は新型コロナウイルスが増殖する時に必要な「3CLプロテアーゼ」という酵素を選択的に阻害し、ウイルスの増殖を防ぐとされます。ゾコーバの薬効メカニズム(感染症学関連学会で示された資料から)(塩野義製薬提供)

今回の臨床試験では日本、韓国、ベトナムの3ケ国で、1,821例の患者さんを対象としています。

これらの患者さんは新型コロナウイルスのオミクロン株に感染した軽症から中等症の患者さんで、その効果を偽薬(プラセボ)と比較しました。

お薬は1日1回、5日間、経口投与されました。

そして、オミクロン株に見られる主な5症状(鼻水または鼻づまり、喉の痛み、咳の呼吸器症状、熱っぽさまたは発熱、けん怠感 (疲労感))などが良くなって消失するまでの時間を比較しました。

お薬を飲んだ人は偽薬に比べて早く症状が良くなりました

この薬を飲んだ人は偽薬を飲んだ人に比べて約24時間早く、オミクロン株に見られる症状が良くなったことが判りました。

症状が良くなるまでの平均時間はお薬を飲んだ人では167.9時間、偽薬を飲んだ人では192.2時間となって、薬を飲んだ人が早く良くなりました。

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そのほかにも薬を飲んで3日後の新型コロナウイルスの量を調べてみると、偽薬を飲んだ人より、ウイルスの量が少なくなっていることが判りました。

エンシトレルビル フマル酸を投与するとプラセボに比べてウイルス量がより減少することが示されました。(塩野義製薬提供)

さらに、重い副作用や、お薬を飲んで死亡した人もなく、比較的安心して飲むことができました。

この結果を踏まえて、厚生労働省は実際に患者さんに使うことができるかどうか手続きを行うことになります。

ここがポイントオミクロン株に感染した新型コロナウイルスの患者さんで、塩野義製薬の開発したエンシトレルビル フマル酸を飲んだ人はより早く症状が良くなることが判りました。今後は実際の患者さんへの投与が検討されます。

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