なんとなくどこにも属さない生き物たち(第2回)
細胞の中で生きていきます。クラミジア
今回はクラミジアを取り上げます。
クラミジアは生物学的にはこれまで1種類でしたが、最近の研究の結果、クラミジアとクラミドフィラに区別されています。
しかし、まだこの分類は確定されたことではなく、遺伝子の解析でも1種類なのではという意見もあります。
人に感染症を起こすクラミジアは、クラミジア・トラコマーティスとクラミドフィラ・ニューモニエとクラミドフィラ・シッタシの3種類です。
クラミジアはとても小さな球形の生物で、ある限られた宿主の細胞の細胞質の中の小胞体と呼ばれるところで増殖します。
また、クラミジアは細菌などを顕微鏡で見るときのグラム染色では見ることができず、特殊な染色法が必要になります。
クラミジア・トラコマーティスは尿道炎と目に感染を起こします。
尿道炎は非淋菌性尿道炎とよばれ、細菌感染で最も多い淋菌以外の原因としては、最も多い菌になります。
女性では卵管やその周囲の臓器にも感染して、骨盤内感染症の原因となります。
もう一つが結膜炎の原因菌となります。特に感染した母親から出産のときに感染する新生児結膜炎はきちんと治療しないと失明することがあります。
クラミドフィラの2つクラミジアは肺炎を起こします。
なかでも、クラミドフィラ・シッタシはオーム病と呼ばれる肺炎の原因となります。
オームなどの鳥類からこのクラミドフィラ・シッタシが感染して肺炎を起こします。
クラミドフィラ・ミューモニエは前回に解説したマイコプラズマとともに非定型肺炎の原因となります。
治療にはマイコプラズマと同じようにペニシリンなど一般的な抗菌薬が効かないため注意が必要です。
次回はリケッチアを取り上げます。
埼玉医科大学 感染症科・感染制御科 教授
医学博士
長崎大学医学部を卒業後、呼吸器内科、感染症内科で臨床および研究に従事。現在は埼玉医科大学病院で感染症の診療と院内感染対策を主な業務とし、学生や研修医の教育も行う。日本感染症学会の理事や厚生労働省の審議会などの役職も務める。
専門は内科学、感染症学、感染制御学、呼吸器感染症