京都府長岡京市は7日、市立滝ノ町保育所に通う女児(5)が腸管出血性大腸菌O157に感染し、4月30日に死亡したと発表した。この保育所では、同じ時期に他に男女4人の園児が感染したが、いずれも快方に向かっているという。2019年5月8日 (水)配信共同通信社
Q. 腸管出血性大腸菌はどんな菌ですか?
A. ベロ毒素を産生する大腸菌です。
ベロ毒素を産生する大腸菌を腸管出血性大腸菌を呼びます。そのような大腸菌は血清型によって分けられています。血清型では、O157、O1、O26、O104、O111、O145などがよく知られています。ベロ毒素にもベロ毒素1と2があった、菌によってはどちらか一方、または両方を産生するものがあります。
Q. 腸管出血性大腸菌はどのようにして感染するのですか?
A. 多くは菌に汚染された食物を食べることによって感染します。
腸管出血性大腸菌は、その菌で汚染された食物もたべることによって、口から感染します。感染力が強く、菌が100個程度でも感染するとされています。そのため、多くの場合は同じ食物を食べた人で広がり、集団発生します。
Q. 腸管出血性大腸菌に感染するとどんな症状がでますか?
A. 下痢と腹痛が主な症状で、下痢に血液が混じることが多くあります。
典型例では、腹痛と水のような下痢で発症します。その後、下痢に血液が混じるようになり、腹痛はさらに強くなります。重症になると、激しい腹痛と、ほとんど血液のような下痢があります。
Q. 腸管出血性大腸菌に感染して死亡することはありますか?
A. 溶血性尿毒症症候群を合併すると死亡することもあります。
下痢や腹痛がでてから、3~7日後に溶血性尿毒症症候群を合併することがあります。その頻度は、0~4歳が最も高く7.2%であるとの報告もあります。合併症を起こさない場合は一般的に死亡することはなく、後遺症などもなく回復しますが、溶血性尿毒症症候群を合併すると死亡することもあります。
Q. 腸管出血性大腸菌に感染しないためにはどうすれば良いのですか?
A. こまめに手洗いをすることが最も大切です。
腸管出血性大腸菌に感染しないためには、こまめに手洗いをすることが大切です。特に食事の前や、お手洗いの後などには丁寧に手洗いをしてください。また、腸管出血性大腸菌に汚染された食物や環境に触る時には、手袋をつけて、さらに手袋を外した後に丁寧に手洗いをしてください。
埼玉医科大学 感染症科・感染制御科 教授
医学博士
長崎大学医学部を卒業後、呼吸器内科、感染症内科で臨床および研究に従事。現在は埼玉医科大学病院で感染症の診療と院内感染対策を主な業務とし、学生や研修医の教育も行う。日本感染症学会の理事や厚生労働省の審議会などの役職も務める。
専門は内科学、感染症学、感染制御学、呼吸器感染症