熊本県は14日、マダニが媒介する感染症「日本紅斑熱」に同県天草市の女性(91)が感染し、死亡したと発表した。県健康危機管理課によると、熊本県内でマダニ感染による死者が出たのは今年初めて。2019年5月15日 (水)配信共同通信社
Q. 日本紅斑熱はどんな病気ですか?
A. リケッチアによる感染症です。
日本紅斑熱はリケッチアという病原体を持っているマダニに人が咬まれることによって感染する病気です。マダニが活動する夏に多くの患者さんが発生します。関東以西の比較的暖かい地方で多くみられますが、最近ではそうではない地域でも患者さんが診られています。
Q. 日本紅斑熱はどんな症状がでますか?
A. 熱と発疹とダニに刺された場所に皮疹ができます。
マダニに咬まれてから、2~8日後に熱がでます。熱は40℃くらいの高い熱がでることもあります。その後、発疹が顔や手足に出てきて、手のひらや足の裏にも出てきます。また、マダニに刺されたところにもかぶれたような皮疹ができます。
Q. 日本紅斑熱で死亡することもありますか?
A. 治療が遅れると死亡することもあります。
日本紅斑熱はきちんとお薬を飲めば、死亡することはありませんが、治療が遅れたり、高齢者や、何らかの重い病気をもった人では時に重症となって、死亡することがあります。病院に受診した時にはマダニに咬まれたことをきちんと伝えてください。
Q. 日本紅斑熱に罹らないためにはどうすればいいのですか?
A. マダニに咬まれないように注意してください。
マダニが活動する時期に山や野原に行くときには、マダニに咬まれないように長袖や長ズボンなどを着てください。マダニは白より黒によって来るとのことですから、黒い服より、白い服を着たほうがいいかもしれません。
埼玉医科大学 感染症科・感染制御科 教授
医学博士
長崎大学医学部を卒業後、呼吸器内科、感染症内科で臨床および研究に従事。現在は埼玉医科大学病院で感染症の診療と院内感染対策を主な業務とし、学生や研修医の教育も行う。日本感染症学会の理事や厚生労働省の審議会などの役職も務める。
専門は内科学、感染症学、感染制御学、呼吸器感染症