百日ぜきは増えています
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)流行によってマスクの着用などの感染対策としたため、全世界で百日ぜきの患者数は2020年から2022年にかけて報告数が減少しました。
しかし、マスクをしなくなって感染対策が緩んだ結果、2023年以降は患者数の増加に転じました。
日本でも2020年以降は患者数が大きく減少しましたが、2024年からは増加に転じています。
百日ぜきは百日咳菌による細菌感染症です
百日ぜきは百日咳菌(Bordetella pertussis)を原因とする細菌感染症です。
百日咳菌(Bordetella pertussis)以外でもパラ百日咳菌(Bordetella parapertussis)が原因となることもあります。
感染経路は鼻咽腔や気道にいる百日咳菌がくしゃみや咳などの飛沫によって感染します。
感染力が強いことが知られています。
小さな赤ちゃんは死亡することもあります
潜伏期間は通常7~10日間程度、最初は軽い風邪のような症状で始まります。
その後でだんだんと咳が強くなり、子供ではけいれん発作を伴うような激しい咳がでます。
小さな赤ちゃんでは肺炎や脳症などの合併症を併発し、まれに死亡することもあります。
逆に大人では咳もそれほどひどくありませんが、普通の風邪と違って咳が長く続くことがあります。
日本における百日ぜきの発生状況は
新型コロナウイルス感染症が発生していた2021年には704例、2022年には494例と大きく患者数が減少しました。
しかし、2023年から増加しており、2025年は第12週時点で4,200例と大きく増加しております。
これは患者さんの数を調べ始めた2018年以降の同時期としては過去最多となっています。
また、年齢別にみてみるとこれまで最も多かった0~4歳の割合が減って、10~19歳の割合が大きく増加しています。
今後も患者数が増加することが予想されるため、十分に注意が必要です。

埼玉医科大学 感染症科・感染制御科 教授
医学博士
長崎大学医学部を卒業後、呼吸器内科、感染症内科で臨床および研究に従事。現在は埼玉医科大学病院で感染症の診療と院内感染対策を主な業務とし、学生や研修医の教育も行う。日本感染症学会の理事や厚生労働省の審議会などの役職も務める。
専門は内科学、感染症学、感染制御学、呼吸器感染症