はしか(麻しん)は感染力の強い病気です
はしか(麻しん)は麻疹ウイルスによって引き起きるウイルス感染症です。
麻疹ウイルスは空気感染を起こすことがあり、感染力が極めて強いウイルスです。
空気感染は同じ空気を吸っている人はすべて感染の危険があります。
そのため、学校や職場など密閉された空間では集団感染をすることがあります。
麻疹は発生して患者をすべて報告することになっています。
日本では2008年の届出数は11,013例でしたが、それ以降届出数は減少し、 2020年は僅かに12例でした。
麻しんウイルスに感染したらどんな症状がでるか
麻疹ウイルスに感染すると時間の経過とともに症状が変化します。
麻疹ウイルスに感染すると10~12日間の潜伏期間の後に、発熱や喉の痛み、咳などの風邪に似た症状が出ます。
この時に目が充血することも良くあります。
また、口の中には頬の粘膜にコップリック班と呼ばれる発疹ができます。
この時期をカタル期と呼んでいます。
その後、一旦熱は治まりますが、また高い熱が出てきます。
それと同時に、全身に赤い発疹がみられるようになります。
その後、熱は徐々に下がって、発疹も少しづつ消えて合併症のないかぎり7~10日後には回復します。
合併症が起きると死亡することもあります
麻疹は多くの場合は自然に治る病気ですが、合併症が起きると死亡することがあります。
特に赤ちゃんでは肺炎を合併すると死亡率が高くなってきます。
その他にも、脳炎や中耳炎などの合併症が起きることがあります。
また、亜急性硬化性全脳炎と呼ばれて麻しんに罹ってからしばらく時間が経って起きる神経の合併症があります。
麻疹には有効なワクチンがあり、それを接種することによって予防することができます。
埼玉医科大学 感染症科・感染制御科 教授
医学博士
長崎大学医学部を卒業後、呼吸器内科、感染症内科で臨床および研究に従事。現在は埼玉医科大学病院で感染症の診療と院内感染対策を主な業務とし、学生や研修医の教育も行う。日本感染症学会の理事や厚生労働省の審議会などの役職も務める。
専門は内科学、感染症学、感染制御学、呼吸器感染症