アフリカの医学研究や医療活動の功績をたたえる「第3回野口英世アフリカ賞」をエボラ出血熱の原因となるエボラウイルスの発見に貢献した、コンゴ民主共和国の国立生物医学研究所所長のジャンジャック・ムエンベタムフム氏(77)と、アフリカの保健医療人材の育成に尽力した、ウガンダの「グローバルヘルスと社会変革のためのアフリカセンター」所長のフランシス・オマスワ氏(75)が受賞した。2019年4月25日 (木)配信朝日新聞
お2人の偉大な研究成果のおかげで、人類は恐ろしいエボラウイルス感染症を克服しつつあります。心からお祝い申し上げます。
Q. エボラ出血熱はどのような病気ですか?
A. エボラウイルスによるウイルス感染症です。
エボラ出血熱は1976年に初めてアフリカで流行した新しい感染症です。エボラウイルスの名前は最初に患者が発生したアフリカのザイール・ヤンブクを流れる川の名前が由来になってます。
Q. 日本ではエボラウイルス感染症は発生しているのですか?
A. 日本ではこれまで発生はありません。
エボラウイルスの感染よるエボラ出血熱は、感染症法で1類感染症に指定されており、日本では特殊な医療機関のみで治療することができます。これまで、エボラ出血熱は日本では発生していません。
Q. エボラ出血熱は人から人に感染しますか?
A. エボラ出血熱は動物から人、もしくは人から人に感染します。
エボラウイルスの感染経路はまだ確実に解明されていませんが、感染した人の血液、唾液などの体液、排泄物などに直接触ることによって感染すると考えられています。
Q. 何か特別な治療法はありますか?
A. 特別な治療法はありません。対症療法や全身の管理が重要となります。
エボラウイルスに対して有効な薬剤などは現時点では発見されていません。また、有効なワクチンもありません。エボラウイルス感染症は死亡率が高い、怖い感染症と考えられてきましたが、これまで発生した地域がアフリカ諸国など、十分な医療設備がない国であったため、日本などの先進的な医療施設では、適切な全身管理を行えばそれほど怖い病気ではないとも考えられています。
埼玉医科大学 感染症科・感染制御科 教授
医学博士
長崎大学医学部を卒業後、呼吸器内科、感染症内科で臨床および研究に従事。現在は埼玉医科大学病院で感染症の診療と院内感染対策を主な業務とし、学生や研修医の教育も行う。日本感染症学会の理事や厚生労働省の審議会などの役職も務める。
専門は内科学、感染症学、感染制御学、呼吸器感染症