今日の新着記事既存の抗菌薬がほぼ効かない海外発の強力な薬剤耐性を持つ大腸菌などの腸内細菌が、国内で増えつつある。国立感染症研究所(感染研)によると、検査を始めた2017年は13例だったが18年は42例。確認された地域は、1年間で6都県から16都道府県に広がっていた。2019年12月15日配信朝日新聞
お母さん
悪夢の耐性菌はどんな菌ですか?
強力な抗生物質が効かなくなった菌です。
前崎 先生
悪夢の耐性菌とは強力な抗生物質が効かなくなってしまった菌です。
大腸菌など普通のヒトの腸の中にいる菌もお薬が効かなくなってしまいます。
治療できる抗生物質がとても少なくなってしまい、もしそのような菌に感染すると治すことができなくなってしまうので「悪夢の菌」と呼ばれています。
お母さん
どうしてそんな菌が生まれるのですか?
病院で感染症の治療のために強力な抗生物質を使いすぎることによって生まれます。
前崎 先生
強力な抗生物質の一つであるカルバペネム系薬は病院に入院している感染症の患者さんの治療に使われます。
ところが、このような強力な抗生物質を使いすぎると耐性菌ができてしまいます。
さらに困ったことに、その耐性菌の遺伝子がほかの菌に乗り移って、抗生物質を使わなくても耐性菌ができてしまいます。
お母さん
日本でもこの悪夢の菌はありますか?
日本ではまだ少ない現状ですが、少しづつ増えています。
前崎 先生
日本では、まだこの悪夢の菌は少ないのが現状です。
しかし、年々少しづつ増えてきていますので、今後注意が必要です。
また、外国から来た人の腸の中にこのような菌がいて、オリンピックなどの機会に多くの外国の人がやってきて、それとともにこの耐性菌が持ち込まれる心配もあります。
ここがポイント強力な抗生物質が効かなくなった耐性菌が外国からくる人によって日本に持ち込まれる危険性があります。注意が必要です。
埼玉医科大学 感染症科・感染制御科 教授
医学博士
長崎大学医学部を卒業後、呼吸器内科、感染症内科で臨床および研究に従事。現在は埼玉医科大学病院で感染症の診療と院内感染対策を主な業務とし、学生や研修医の教育も行う。日本感染症学会の理事や厚生労働省の審議会などの役職も務める。
専門は内科学、感染症学、感染制御学、呼吸器感染症