マスクは飛沫感染を防ぎます
飛沫感染とは
飛沫感染は、話をしたり、歌ったり、咳をしたり、くしゃみをすることによって生じるエアロゾル粒子に含まれる病原微生物が、相手の口や目や鼻の粘膜に直接接触することによって感染します。
咳をすることによって生じるエアロゾル粒子の多くは1m以内の極めて近いところの空気中に認められます。
ただし、この距離は咳の強さや粒子の大きさによって異なります。より大きな粒子は重力によって地面にすぐ落下することにもなります。
飛沫感染によって感染する原因微生物としては、インフルエンザや百日咳などがあります。
新型コロナウイルスも飛沫感染が主な感染経路です。
飛沫感染を防ぐには
飛沫感染を防ぐには、エアロゾル粒子が届かない距離を取るか、顔面の防護具としてサージカルマスクやフェイスシールドを着用することが有効です。
距離を取ることについては、ソーシャル・ディスタンシングとして2mの距離を取ることが言われています。
マスクの効果は感染した人が付けるとより有効です。
このように感染した人がマスクをつけると健康な人に感染させるリスクは5%まで低くなります。
感染した人と健康な人のどちらもマスクをつけているとそのリスクは1.5%となって、ほぼ感染を防ぐことができます。
マスクをつけるということは、自分を感染から守るだけではなく、他の人に感染させないためにも大切なことです。
マスク種類とその効果
一般に使用されるマスクには不織布、布、ウレタンなどの素材があります。
それぞれの素材のマスクがウイルスを外に吐き出すことを防ぐ効果と、ウイルスを吸い込む効果を比較すると
不織布のマスクではマスクをしていない時を100%とすると吐き出しが20%、吸い込みが30%となり最も効果が高いことが判ります。
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なお、フェイスシールドやマウスシールドは吐き出す効果も吸い込む効果もマスクをしていない時とほとんど変わりません。
マスクは不織布のものを正しく使うことが最も大切です。
埼玉医科大学 感染症科・感染制御科 教授
医学博士
長崎大学医学部を卒業後、呼吸器内科、感染症内科で臨床および研究に従事。現在は埼玉医科大学病院で感染症の診療と院内感染対策を主な業務とし、学生や研修医の教育も行う。日本感染症学会の理事や厚生労働省の審議会などの役職も務める。
専門は内科学、感染症学、感染制御学、呼吸器感染症