感染症危機対応医薬品等(MCM: Medical Countermeasures)とは
感染症危機対応医薬品等(MCM: Medical Countermeasures)とは公衆衛生危機管理において、救命、流行の抑制、社会活動の維持等、危機への医療的な対抗手段となる重要性の高い医薬品や医療機器などの事です。
わかりやす言うと、今回の新型コロナウイルスなど未知のウイルスの大流行などの時に使用できるワクチンや治療薬のことになります。
現時点で、そのようなワクチンや治療薬があるが、平時には使用しないものは、有事に備えて事前に備蓄することになります。
また、現時点で有効なワクチンや治療薬がないものについては研究して開発することになります。
重点感染症とは
このような感染症危機対応医薬品が必要となるであろう感染症を重点感染症としています。
実際にはそれをさらにいくつかのグループに分けています。
その中でグループXは全く未知の病原体で、社会的に影響の大きいパンデミックを引き起こす病原体とされています。
その次がグループAで、これらの病原体も社会的に影響の強いパンデミックを起こす危険性があります。
しかし、このグループの病原体は未知のものではなく、これまでにも流行を起こしてきたものが変化したもとの考えられています。
000924266重点感染症の暫定リスト
重点感染症の暫定リストとしてグループAに属する病原体が決められています。
社会的インパクトが甚大だが予見困難な感染症としてインフルエンザウイルス、コロナウイルス、エンテロウイルスなどがあります。
また、エボラウイルスなどウイルス性出血熱をきたす感染症や、パラミクソウイルスなど重症脳炎をきたす感染症を来す感染症が含まれています。
そして、根絶された感染症として天然痘ウイルスが含まれています。
埼玉医科大学 感染症科・感染制御科 教授
医学博士
長崎大学医学部を卒業後、呼吸器内科、感染症内科で臨床および研究に従事。現在は埼玉医科大学病院で感染症の診療と院内感染対策を主な業務とし、学生や研修医の教育も行う。日本感染症学会の理事や厚生労働省の審議会などの役職も務める。
専門は内科学、感染症学、感染制御学、呼吸器感染症