小児および若い人の新型コロナウイルスによる死亡が増えています
2020年1月1日以降の20歳未満の新型コロナウイルスによる死亡例がまとめて報告されました。
それによると8月31日までに41例の死亡例が報告されています。
年齢は0歳が8例(20%)、1-4歳が10例(24%)、5-11歳が17例(41%)、12-19歳が5例(12%)と5-11歳が最も多くなっています。
また、性別は男性が23例(56%)、女性が18例(44%)と若干男性に多い傾向にありますが、女性でも亡くなる例があります。
さらに全く病気がない元気な人でも17例(41%)が亡くなっています。
明らかに新型コロナウイルスが原因と思われる29例の詳細な報告
41例の死亡例のうち、詳細な報告がある29例について報告されています。
それによると新型コロナワクチンは、29例のうち接種対象外年齢の者が14例(48%)、接種対象年齢の者が15例(52%)でした。
接種対象年齢となる5歳以上の15例では、未接種が13例(87%)、2回接種が2例(13%)と多くの人がワクチンを接種していませんでした。
病院を受診したときの症状は発熱が23例(79%)、吐き気などが15例(52%)、意識障害が13例(45%)、咳が9例(31%)と多く認められました。
発症から死亡までの日数が、中央値で4日では2日以内が8例(31%)、6日以内が11例(42%)と多く人が急に亡くなっています。
これらのことから、小児で新型コロナウイルスで亡くなる人は、意識障害など成人の肺炎とは違う原因が多いと思われます。
さらに発症してから1週間以内に亡くなることが多く、この期間は十分に注意することが大切です。
また、5歳以上の小児にも積極的にワクチンを接種することが重要と考えられています。
埼玉医科大学 感染症科・感染制御科 教授
医学博士
長崎大学医学部を卒業後、呼吸器内科、感染症内科で臨床および研究に従事。現在は埼玉医科大学病院で感染症の診療と院内感染対策を主な業務とし、学生や研修医の教育も行う。日本感染症学会の理事や厚生労働省の審議会などの役職も務める。
専門は内科学、感染症学、感染制御学、呼吸器感染症