宮城県は23日、同県登米市内の保育施設で園児と職員計54人が嘔吐(おうと)や下痢を訴え、うち3人からノロウイルスが検出されたと発表した。全員快方に向かっている。保健所はノロウイルスによる胃腸炎の集団感染の可能性があるとして、消毒方法の指導や原因調査を行っている。2019年4月24日 (水)配信共同通信社
ウイルス性下痢症または、ウイルス性胃腸炎と呼ばれ、嘔吐や下痢を主な症状とします。原因となるウイルスには、ロタウイルス、ノロウイルス、サポウイルス、アデノウイルス、アストロウイルスなどがあります。
Q. ノロウイルスはどのようにして感染するのですか?
A. 糞口感染として、汚染した糞便に触った手から感染します。
ノロウイルスを含む糞便に触った手から口の中にウイルスが入って感染します。実際にはノロウイルスがトイレのドアノブや、タオルなどを汚染し、それを触ることによって、人の手にウイルスがくっつき、その手で食べのもなどを食べることによって、口から体の中に入ってきます。
Q. ノロウイルスに感染するとどんな症状がでますか?
A. 急激に始まる嘔吐と、それに続く下痢と発熱です。
ノロウイルスの潜伏期間は24~48時間で、急激に始まる嘔吐に続いて下痢と発熱が起こります。下痢は水みたいな下痢で、血が混じることはありません。発熱も38℃未満のことが多く、高い熱は出ません。健康な成人では症状は1~3日間は続きますが、重症となることはまずありません。
Q. 何か特別な治療はあるのですか?
A. 対症療法が基本的な治療となります。
治療の基本は、嘔吐や下痢で喪失した水分の補給と電解質の補正になります。脱水がひどい場合は点滴静注で補給しますが、多くの場合は経口の補液で十分になりますから、そのような飲料水を適切に摂取してください。
Q. ノロウイルスはなぜ集団感染するのですか?
A. 感染力が強くて、消毒も難しいからです。
ノロウイルスは10個程度の少ないウイルスでも感染します。また、吐物や環境の消毒には次亜塩素酸という特別な消毒液が必要となります。このような消毒液を使っても完全にウイルスをなくしてしますことは大変難しいので、ノロウイルスの感染を防ぐためには、お手洗いに行った後や食事の前には石鹸を使って十分な手洗いをすることが大切です。
埼玉医科大学 感染症科・感染制御科 教授
医学博士
長崎大学医学部を卒業後、呼吸器内科、感染症内科で臨床および研究に従事。現在は埼玉医科大学病院で感染症の診療と院内感染対策を主な業務とし、学生や研修医の教育も行う。日本感染症学会の理事や厚生労働省の審議会などの役職も務める。
専門は内科学、感染症学、感染制御学、呼吸器感染症