イベルメクチン「有効性見いだせず」 コロナ治療薬の臨床試験

今日の新着記事新型コロナウイルス感染症の治療薬への転用をめざしていた抗寄生虫薬「イベルメクチン」について、効果や安全性を確かめる臨床試験(治験)を行っていた興和(本社・名古屋市)は26日、「主要な評価項目で統計的な有意差が認められなかった」とする結果を発表した。今後、詳細な分析を進めるが、現時点ではコロナ治療薬としての承認申請は考えていないという。2022年09月26日配信 朝日新聞デジタル

イベルメクチンはどんな薬か

イベルメクチンは寄生虫の増殖を阻害する薬です。

イベルメクチンは寄生虫の神経細胞に作用して、寄生虫を麻痺させて死滅させます。

この神経細胞はヒトなどの哺乳類にはないため、ヒトに対しては副作用などがでる心配もありません。

寄生虫の病気の中で、腸管糞線虫症と疥癬という病気に対して効果があります。

糞線虫は日本では九州南部、沖縄・奄美地方で患者が発生しています。感染は土の中にいる糞線虫の幼虫が皮膚から侵入します。
疥癬とは、ヒゼンダニと呼ばれる小さなダニが皮膚に寄生しておこる皮膚疾患です。

イベルメクチンは錠剤として、1回に3~5錠を水と一緒に飲みます。

副作用としては肝機能に異常がでたり、血小板が少なくなったりします。

また、意識障害がでることがあるので、車の運転には注意が必要です。

イベルメクチンは新型コロナウイルスには効果がありませんでした

イベルメクチンはその作用機序から様々な微生物にも効果があると考えられてきました。

試験管内の実験ではイベルメクチンが新型コロナウイルスの増殖を抑える効果が確認されました。

しかし、今回イベルメクチンと偽薬(プラセボ)の飲んだ新型コロナウイルスの患者さんでは、発熱や喉の痛みなどの症状の改善に差がないことが判りました。

その結果からイベルメクチンは新型コロナウイルスの治療に効果がないことが証明されました。

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飲み薬で使えることからこれまで、軽症の新型コロナウイルスの患者さんに使われてきましたが、今後は副作用が起こる可能性もあるため、使用は控えるべきと考えます。

ここがポイントこれまで軽症の新型コロナウイルスの患者さんに使われてきたイベルメクチンが臨床試験の結果から効果がないことが判りました。今後はイベルメクチンの使用は控えるべきと考えます。

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