可愛い犬や猫。でも、きちんと付き合って感染症には注意を
犬と猫の咬まれることの違いは
犬や猫にまつわる感染症は、咬まれることが最も多い原因です。動物に咬まれて病院を受診する人のうち、犬が9割、猫が1割と、圧倒的に犬が多いと言われています。
咬まれ方にも違いがあって、犬では英語で「laceration」と表現され、引きちぎられるとか、食いちぎられると言います。確かに犬は噛みついた後に、強い力で引っ張るためでしょう。
それに対して、猫は英語では「puncture」と表現され、小さな穴をあけるといった意味になります。猫は鋭い牙で、穴をあけますが、犬のように引っ張ることはないので、垂直に力が加わるということですかね。
傷口が感染する危険性は、犬から咬まれた時が、猫から咬まれたときよりも5倍から10倍になると言われています。
これは、犬と猫では噛みついた後の傷のでき方の違いによるからです。
では、猫に咬まれたときは安心かというと、例えば人に感染するパスツレラ菌は、猫は9割近く、口の中にもっていますが、犬は5割程度で、猫に咬まれたときのほうが危険です。
簡単にいうと犬に咬まれたときは、傷が深くなり、皮膚の深くや骨まで傷が届くことがあり、猫に咬まれたときは傷は浅いけど、菌による感染症が起こりやすいことになります。
どちらも、咬まれた時にはちゃんと処置をしないといけません。
埼玉医科大学 感染症科・感染制御科 教授
医学博士
長崎大学医学部を卒業後、呼吸器内科、感染症内科で臨床および研究に従事。現在は埼玉医科大学病院で感染症の診療と院内感染対策を主な業務とし、学生や研修医の教育も行う。日本感染症学会の理事や厚生労働省の審議会などの役職も務める。
専門は内科学、感染症学、感染制御学、呼吸器感染症