今日の新着記事全国有数の結核病棟を持つ大阪府大東市の阪奈病院で、抗菌薬がほとんど効かない病原菌「多剤耐性アシネトバクター(MDRA)」の集団感染が起きた問題を受け、厚生労働省は全国の保健所に対し、発症事例の届け出と、院内感染の疑いがあれば速やかに報告するよう医療機関に周知徹底することを求める通知を8日付で出した。2019年11月12日配信読売新聞
サラリーマン
多剤耐性菌はどんな菌ですか?
多くの種類の抗生物質が効かなくなってしまった菌です。
前崎 先生
感染症の治療にはたくさんの種類の抗生物質があります。
多剤耐性菌はこれらのたくさんの種類の抗生物質が効きにくくなった菌のことです。
たくさんの種類の抗生物質が効かなくなった菌がもし感染すると治すことが難しくなります。
サラリーマン
多剤耐性菌はどうして生まれるのですか?
病院に入院している感染症の患者さんに多くの抗生物質を使うことで生まれます。
前崎 先生
多剤耐性菌は病院にいる感染症の患者さんの治療のために多くの抗生物質を使うことによって生まれます。
とくにいろんな細菌に効く抗生物質を多くの量使ったり、長く使ったりすることによって生み出されます。
そのため、抗生物質を適切に使うことが、大切になります。
サラリーマン
多剤耐性菌が見つかればどうしてすぐ報告しなければいけないのですか?
例えば、その多剤耐性菌が患者さんと一緒にほかの病院に持ち込まれることもあるからです。
前崎 先生
多剤耐性菌の中には私たちの体の中にいつもいる菌もあります。
そんな菌が多剤耐性菌になって、患者さんがほかの病院に移って、今度はその病院でほかの患者に感染することもあります。
多剤耐性菌はまだ日本では少ない菌ですから、1例でも見つかれば、保健所に報告して、それ以上広がらないようにしなけらばいけないのです。
ここがポイントまだ、日本では少ない多剤耐性菌が見つかれば、すぐに報告してそれ以上に広がらない対策が必要です。
埼玉医科大学 感染症科・感染制御科 教授
医学博士
長崎大学医学部を卒業後、呼吸器内科、感染症内科で臨床および研究に従事。現在は埼玉医科大学病院で感染症の診療と院内感染対策を主な業務とし、学生や研修医の教育も行う。日本感染症学会の理事や厚生労働省の審議会などの役職も務める。
専門は内科学、感染症学、感染制御学、呼吸器感染症