抗体薬、効果期待できず オミクロン株「BQ・1」

今日の新着記事新型コロナウイルスで感染が確認される割合が増えると指摘されているオミクロン株派生型「BQ・1」に対し、国内外で使われてきた4種類の抗体薬は効果が期待できないとの実験結果を、東京大医科学研究所の河岡義裕特任教授(ウイルス学)らのチームが7日付の米医学誌「ニューイングランド・ジャーナル・オブ・メディシン」に発表した。2022年12月8日配信共同通信社

現在、わが国新型コロナウイルス感染症の治療に使える中和抗体

わが国では、これまで3種類の中和抗体が新型コロナウイルスの治療に使われてきました。

中和抗体薬はウイルスが細胞の表面にくっ付くためのスパイク蛋白に結合することによって、ウイルスが細胞に侵入することをブロックしてウイルスの増殖を防ぎます。

しかし、この中和抗体はオミクロン株の亜種では効果があまりないことが確認されています。

これまで、オミクロン株の亜種であるBA・4やBA・5ではその効果が低いとされていました。

今回の研究ではさらにオミクロン株の亜種であるBQ・1にも効果が低いことが証明されました。

では、これまでわが国で使われてきた中和抗体薬について簡単に解説します。

  • ロナプリーブ

      最初に治療に使うことができた中和抗体薬

      2つの中和抗体を使うことからカクテル療法と呼ばれました。

      オミクロン株では効果が低いため、現在はほとんど使われていません。

  • ゼビュディ

      BA・1までのオミクロン株ではある程度の効果がありました。

      BA・2以降のオミクロン株では効果が低いことが判りました。

      現在の流行のBA・5では使用することはほとんどなくなりました。

  • エバシェルド

      BA・5にもある程度の効果が確認されています。

      しかし、今後の流行が懸念されるBQ・1では効果が低いとされています。

カシリビマブ/イムデビマブ(ロナプリーブ)

わが国で最も早く治療に使うことができた中和抗体薬です。

コロナウイルスのスパイク蛋白の一部に結合する抗体をモノクローナル抗体という技術を使って作り出してます。

オミクロン株以前のコロナウイルスが増殖することが証明されていました。

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患者さんに使用すると、重症化することを防ぐ効果が認められています。

さらに、発症した家族などの濃厚接触者では発症することを防ぐ効果も確認されています。

ソトロビマブ(ゼビュディ)

この中和抗体薬は、新型コロナウイルスと同じコロナウイルスである重症呼吸器症候群(SARS)の中和抗体薬として開発されてきました。

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SARSと同じコロナウイルスである新型コロナウイルスにも効果が期待でき、治療に使われてきました。

この中和抗体薬もオミクロン株以前のコロナウイルスに感染した患者さんに投与すると重症化を防ぐ効果が確認されました。

チキサゲビマブ/シルガビマブ(エバシェルド)

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3つ目の中和抗体薬で、この薬剤もコロナウイルスのスパイク蛋白に結合するモノクローナル抗体と呼ばれる薬剤です。

海外では新型コロナウイルスの治療にも使われていますが、わが国では重症化のリスクがある患者さんの重症化予防として使用されます。

しかし、この中和抗体薬も他の2つの薬剤と同じようにオミクロン株では効果が低いとされています。

このように、現在流行しているオミクロン株の亜種ではわが国使用可能な3つの中和抗体薬の効果が期待できないと考えられています。

しかし、わが国で使用可能な4つの抗ウイルス薬の効果はオミクロン株でも確認されているため、今後は抗ウイルス薬による治療が中心となると考えます。

ここがポイント新型コロナウイルスの治療につかれてきた中和抗体薬がオミクロン株の亜種では効果が期待できないことが判りました。今後は抗ウイルス薬が治療の中心になると考えられます。

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