ギラン・バレー症候群の原因は
ギランバレー症候群は、神経の病気の一つであり、主に末梢神経に障害が出てきます。
原因としては、免疫の異常や、先天的な遺伝によるものが考えられています。
もう一つの原因は何らかの感染症の後に発症するため、感染も原因の一つと考えられています。
原因となる感染症はウイルス感染や細菌感染が考えられています。
ギランバレー症候群の原因となるウイルスは
ギランバレー症候群の原因となるウイルスは、複数の種類が関与することが知られています。
ジカウイルス
ジカウイルスは、蚊によって媒介されるウイルスであり、ギランバレー症候群の原因ウイルスの一つと考えられています。
実際に、南米では過去にもジカウイルスの流行によってギランバレー症候群が増えた報告があります。
ジカウイルスの流行地域
エプスタイン・バールウイルス(EBウイルス)
EBウイルスはヘルペスウイルスの一つで、伝染性単核球症と呼ばれる病気を起こします。
その中にギランバレー症候群を発症する症例があります。
サイトメガロウイルス
サイトメガロウイルスもヘルペスウイルスの一つで、免疫不全患者に感染すると発症します。
このウイルスもギランバレー症候群との関連が考えられています。
インフルエンザウイルス
毎年、冬に流行するインフルエンザウイルスのギランバレー症候群を発症する原因ウイルスの一つと考えれています。
このようにギランバレー症候群の発症に関わるウイルスはいくつか考えられていますが、これ以外のウイルスでもその原因になることがあると考えられています。
ウイルス以外にギランバレー症候群の原因なる感染症は
ウイルス感染以外にもギランバレー症候群の原因となる感染症があります。その原因微生物としては
カンピロバクター菌
カンピロバクター菌は汚染された食べ物や水によって人に感染します。カンピロバクター菌に感染した後にギランバレー症候群に似た症状を認めることがあり、原因の一つと考えられています。
カンピロバクター菌の電子顕微鏡写真(東京都健康安全センター)
ボツリヌス菌
カンピロバクター菌と同じように汚染された食べ物や水から感染します。ボツリヌス菌による中毒がギランバレー症候群と似たような症状を示すことから原因の一つと考えられています。
マイコプラズマ
肺炎などの呼吸器感染症を起こすマイコプラズマもギランバレー症候群の原因となる感染症の一つと考えられています。
埼玉医科大学 感染症科・感染制御科 教授
医学博士
長崎大学医学部を卒業後、呼吸器内科、感染症内科で臨床および研究に従事。現在は埼玉医科大学病院で感染症の診療と院内感染対策を主な業務とし、学生や研修医の教育も行う。日本感染症学会の理事や厚生労働省の審議会などの役職も務める。
専門は内科学、感染症学、感染制御学、呼吸器感染症