コレラはどんな感染症か復習します
コレラに関してはこれまでに何度か取り上げていますが、ポイントを再度確認します。
コレラはコレラ菌による細菌感染症です。
コレラ菌で汚染された水や食べ物を口から接種することによって感染します。
感染した菌は人の体の中で増えて、最終的には菌が作り出す毒素によって病気が起きます。
世界中ではアフリカ、アジア、中南米の一部の地域で流行しています。
コレラの発生が多い国はインド、バングラディシュなどの南アジア諸国、アフリカ諸国と中東の一部の国々です。また、カリブ海の国々でも患者の発生が報告されています。
わが国におけるコレラの発生状況
コレラは3類感染症として、診断した医師は保健所にその情報を届けなくてはなりません。
2018年から2022年までの4年間に日本におけるコレラの発生報告は全くありません。
では、いくつか日本で発生したコレラの状況をみてみます。
2008年6月、33歳の女性
2008年の6月に大阪府堺市に住む、33歳の女性が激しい水様性下痢および嘔吐、さらに脱水、血圧低下などぼ症状を認め、夜間に市内の病院を受診しました。
翌日に検査した便からコレラ菌が検出され、入院後は抗生物質の治療によって回復しました。
患者さんに聞き取りをした結果、居酒屋で友人と刺身、ウニ、にぎり寿司を食べ、また自宅でとろサーモンすり身生食用真空パックを食べていましたが、原因となる食材はわかりませんでした。
飲食店を原因施設とするコレラ集団発生事例
2008年4月、埼玉県内に住む60歳代の男性が激しい下痢で脱水症状を起こして入院しました。
その患者の便からコレラ菌が検出されました。
患者に聞き取りをした結果、飲食店Sで調製された弁当を食べたことが判かりました。
その後、同じ弁当を食べた211人の便を検査した結果、8人からコレラ菌が検出され、集団発生を思われました。
埼玉医科大学 感染症科・感染制御科 教授
医学博士
長崎大学医学部を卒業後、呼吸器内科、感染症内科で臨床および研究に従事。現在は埼玉医科大学病院で感染症の診療と院内感染対策を主な業務とし、学生や研修医の教育も行う。日本感染症学会の理事や厚生労働省の審議会などの役職も務める。
専門は内科学、感染症学、感染制御学、呼吸器感染症