現在の新型コロナウイルスの感染対策に関する提言
新型コロナウイルスに関する感染対策としては当初は3密という言葉がはやっていました。
この3密は「密集」、「密接」、「密着」の頭文字の3つの密をとってきたものです。
これは主として飛沫およぶ接触感染対策を重視しましょうという考え方でした。
その後で、新型コロナウイルスの感染はいわゆるエアロゾルで感染することも多くあることが判ってきました。
そこで、そのエアロゾルの感染対策も含めて現在では厚生労働省から感染に注意すべき5つの場面として提言がされています。
その5つの場面とは
- 飲酒を伴う宴会など
- 大人数や長時間におよぶ飲食
- マスクなしでの会話
- 狭い空間での共同生活
- 居場所の切り替わり
の5つです。
ホテルなどで行われている立食を伴う宴会はこの5つの場面のうち、2つが該当するため、感染危険が極めて高いとされてきました。
飲食を伴うクラスターの実際
では、これまでに飲食を伴うクラスターはどのようにして発生しているのでしょうか。
そのクラスターの調査結果を国立感染症研究所から報告されています。
6つの事例を調査した結果、感染経路は同グループの客-客間の伝播事例が5例、別グループの客-客間が3例、客-従業員間が2例と同じグループ内で起きることが多いことが判りました。
さらに座席が近い人に感染し、席が離れている人や対角線上に座っている人には感染しませんでした。
また、窓がなかったり、換気設備が不十分なことが原因になるとされています。
さらに、肩が触れ合うほど密集した状態であった事例もありました。
これらの事例を受けて今回ホテルで構成される協会では、換気など十分な感染対策をとった上で、シュミレーションした結果、飲食を伴う立食の宴会でも感染を十分に防ぐことができると公表しました。
もちろん、その場合もマスクは極力使用し、会話も大きな声にならないように中止することが必要です。
埼玉医科大学 感染症科・感染制御科 教授
医学博士
長崎大学医学部を卒業後、呼吸器内科、感染症内科で臨床および研究に従事。現在は埼玉医科大学病院で感染症の診療と院内感染対策を主な業務とし、学生や研修医の教育も行う。日本感染症学会の理事や厚生労働省の審議会などの役職も務める。
専門は内科学、感染症学、感染制御学、呼吸器感染症